WHOがゲーム依存症を病気認定…治療法の開発、専門医の増加に期待

スマートフォンなどのゲームにのめり込んで日常生活に支障をきたすゲーム依存症が、5月25日に開かれた世界保健機関(WHO)総会で「ゲーム障害」という病気として認められました。

 この決定を受けて、病気の名称や症状を示す「国際疾病分類(ICD)」の最新版にゲーム障害が追加されることになります。WHOによると、ゲームをする時間や頻度を自ら制御できない、日常の関心事や日々の活動よりゲームを優先する、日常生活に支障をきたしてもゲームを続けるといった状態が12カ月以上続いたときにゲーム障害と診断することにしました。

 ゲーム依存症の患者さんは会社や学校を休んで治療に専念できるようになるので朗報といえるでしょう。ゲーム依存症が保険会社の治療費支払いの対象になるかどうかは、それぞれの国の判断になると思われます。

ゲーム依存症は多くの国で社会問題となっていいます。韓国では2002年にゲームのやり過ぎによる死亡事故が起きています。アメリカの成人は全体の65%にあたる1億6400万人が日常的にビデオゲームをしているといわれています。

 日本でもスマートフォンなどの普及によって、ゲーム依存の問題が深刻化しつつあります。厚労省によると、日本ではオンラインゲームを含めたネット依存症が疑われる中高生が推計93万人と過去5年間で倍増しています。

 このようにゲーム依存症が正式に病気と認められることで、予防対策や治療法の開発などが進むことが期待されます。患者数など正確な統計データが収集されるようになれば、各国や地域ごとの状況把握にも役立つことでしょう。世界的にみてもゲーム依存症に対応できる専門の医療機関はまだ少ないようですが、これからは日本でも専門医も増えていくことを期待します。(山野医療専門学校副校長・中原英臣)