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「不眠症」予防、朝食が効果大 質の高い眠りに枕選びも大切

夜が非常に長く感じられるこの時期。「眠れない」「眠っても疲れがとれない」という悩みを抱えている人はいないだろうか。そんな時、疑われるのが「不眠症」。適切な睡眠時間は個人によって違うため病気として認知されにくいが、日本では5人に1人以上いるとされ、年々増え続けている現代病の一つだ。不眠症の予防・対処法と、質の高い眠りを確保するための寝具について、医師と専門店にアドバイスを求めた。

 岡山市中区湊でたかはしクリニックを開業する高橋理枝医師によると、一般的に適切とされる睡眠時間は6、7時間。ただ個人差が大きく、5時間で十分の人もいれば、8時間以上必要な人もいる。不眠症の大まかな定義は「仕事や家事、勉強など日中の活動に支障を来すほどの眠気やけん怠感が続くこと」と教えてくれた。

 不眠症には、寝ようとしても眠れない「入眠障害」▽眠りが浅く何度も起きる「中途覚醒」▽睡眠時間が長いのに眠りが浅く疲れがとれない「熟眠障害」▽朝早く目が覚め、そのまま眠れなくなる「早朝覚醒」―の大きく4タイプに分けられる。高橋医師によると、この状態が2週間以上続くと不眠症の可能性があり、医師に相談したほうがよいという。

 不眠症の改善にまず必要なのは、生活リズムと寝る環境の見直しだ。朝、目が覚めてから15、16時間後に眠くなる。そのリズムを作るのに、最も大事なのは「朝の目覚め」だという。

 「目を開けたのが目覚めではない。朝の光を浴び、朝食を食べることで脳が覚醒する」と高橋医師。朝食を飲み物で済ませる人もいるが、固形物をとることで体にスイッチが入るという。

 寝る時の周りの環境にも注意したい。睡眠とは脳を休息させること。光や音などの刺激は極力少ないほうがよい。寝床に入りスマートフォンで動画を見るといった行動は寝付きを悪くする元だ。また「体温が下がる時に寝入りやすい」(高橋医師)ことから、入浴や食事、ジョギングなどは就寝時間の3~4時間前には終わらせておきたい。

 高橋医師は「眠れないからと起き出して食べれば、肥満や高血圧、糖尿病といった生活習慣病の原因にもなる。ストレスによる不眠はうつ病などにもつながる。日常生活でよいパフォーマンスをするためにも、質の高い睡眠をとることが大切」と指摘する。


岡山市北区表町の寝具専門店「眠りのこだわり ミューデ」(2003年開業)の宮崎啓子店長によると、快適な眠りに欠かせないのが枕。選ぶ際のポイントは、高さ、形、中身の材質の三つだ。

 人間の体に最も負担が少ない姿勢は、リラックスして立っている状態。この姿勢を就寝時も保つことができるよう、寝ている時に敷布団と頭と首の間にできる隙間を埋めるのが枕の役割となる。

 同店では、首のカーブを測定し、体形と合わせて最適な枕の高さを決める。最近はパソコンやスマートフォンの操作で慢性的なうつむき姿勢を取ることで、首のカーブがない「ストレート首」の人も増えている。「適正な高さは千差万別なので、きちんと測ってほしい」と宮崎店長。

 次いで大事なのが形。人によって違う後頭部の形に合わせて選ぶ。人気なのは、寝返りで横向きになった時のため、両サイドが少し高くなった枕。中身の材質はポリエチレン、ウレタン、そば殻などがあり、感触や音など自分の好みにあったものにすればよい。

 宮崎店長は「枕を見直すことで、不眠だけでなく、肩こりや腰痛などの悩みが解消する人も少なくない。こだわりを持って選んで」とアドバイスする。

 枕は1万5千円前後が売れ筋で、3~5年が交換の目安という。
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 製薬会社のMSD(東京)は本年度、不眠症治療に関する全国調査を行った。都道府県別で岡山県は「不眠症の疑いあり」の人は38.8%(全国平均40.2%)で全国35位だった。

 県民のうち、不眠の悩みを抱えているにもかかわらず、医師に相談していない人は60.0%(同56.2%)で全国平均を上回り19位。また不眠症治療薬を服用している人のうち、服用期間が3年以上の長期にわたる人が62.0%(同56.2%)で11位などの結果が出た。

 調査は岡山県の40歳以上の男女1050人を対象に実施した。