ソフトバンクグループの孫正義会長=写真=が率いる世界最大の技術投資ファンド、ビジョンファンドが最近、投資失敗に続き、幹部の相次ぐ退職に揺れている。

 

 ブルームバーグ電は4日、ビジョンファンドのロンドン地域担当パートナーであるキャロライナ・ブロチャド氏が辞任したと報じた。ブロチャド氏は昨年初めにビジョンファンドに合流し、今年2月にブラジルのフィットネス分野のスタートアップ、ジムパスと英国の人工知能(AI)分野のスタートアップ、ビヘイボックスに対する各10億ドル(約1090億円)の投資を推進した。先月には幹部であるパートナーに昇進し、ボーナスを受け取るなど順調に出世していた人物だ。

 

 ビジョンファンドの幹部退職は年初来4人目だ。米国投資担当のパートナー、マイケル・ローネン氏、最高人事責任者(CPO)のミシェル・ホン氏、パートナーのデービッド・テブノン氏らが相次いで離脱している。昨年のカーシェアリング業者ウーバーの株価急落、シェアオフィス大手ウィーワークの上場失敗などで投資損失が膨らんだ影響だ。

 

 ビジョンファンドは最近、1080億ドルを目標とする第2次資金調達を進めたが、目標額の半分も資金が集まらなかったという。投資損失の拡大を受け、孫会長は23日、ソフトバンクグループの資産4兆5000億円相当を売却し、自社株買いや債務償還など財務状況の安定化に充てる緊急対策を明らかにした。